売るまえに読む / シロアリの家の売却と修理
シロアリの跡があっても、直せる家と直せない家があります。
床が抜けた実家の見方と、駆除せずに手放す道
食害が土台と柱の足元で止まっている家は直せます。駆除も片づけもせず売る道もあります。境目の見分け方をまとめました。
- 北陸はヤマトシロアリが主。湿った土台と水回りから始まる
- 土台と柱の足元で止まっていれば、根継ぎで解体せず直せる
- 駆除も片づけもせず今のままの状態で買取。契約不適合責任は免責
売るまえに読む / シロアリの家の売却と修理
食害が土台と柱の足元で止まっている家は直せます。駆除も片づけもせず売る道もあります。境目の見分け方をまとめました。



当社が古民家を直した事例です。古びた和室でも、柱と梁の骨組みが生きていれば、天井を抜いて梁を見せる階段室にし、次の使い手に渡せます。工期4か月、建築工事費900万円。→ この事例を詳しく見る
シロアリの跡がある家を、当社は駆除も片づけもしていない状態のまま買い取っています。食害の場所と広がりを当社が確かめ、直す費用を見込んだうえで値を付けるからです。
「シロアリが出た家は、駆除してからでないと売れない」と思っている方が多くいます。仲介(不動産会社が買い手を探して売る方法)で一般の買主に売るなら、それに近い現実があります。買主は住む人です。床下に蟻道(ぎどう、シロアリの通り道)があると聞けば、話が止まることがあります。売主には、伝える義務も残ります。当社の買取は前提が違います。買主は当社、つまり直す工務店です。現地調査で床下と柱の足元を見て、どこまで食われているか、どう直すかを分かったうえで買います。分かって買うので、引渡し後の契約不適合責任(引渡し後に見つかった不具合を、売った側が直す責任)は免責(責任を負わなくてよいこと)です。あとから「シロアリがいた」と責任を問われることはありません。
当社が今のまま買い取れる状態として、雨漏り・傾き・シロアリを挙げているのはこのためです。家財が残ったままで構いません。相続登記(亡くなった方から名義を移す手続き)が済んでいなくても査定(いくらで買い取れるか値段を出すこと)はできます。現地調査から最短2週間で引渡し(鍵を渡して、持ち主が替わること)です。当社の買取価格は、仲介で売るより低くなります。直す費用と、売れないまま残る心配を、当社が引き受けるからです。その代わり、駆除の費用も、片づけの費用も、解体の費用も、売主が先に出すことはありません。
建物を加害するシロアリのうち、日本で分布が広いのはヤマトシロアリとイエシロアリの2種です。公益社団法人日本しろあり対策協会の資料では、ヤマトシロアリは北海道北部を除く全国に分布し、イエシロアリは神奈川県以西の海岸線に沿った温暖な地域と千葉県の一部、南西諸島・小笠原諸島に分布するとされています。この分布からすると、富山や飛騨の内陸で出るのは、まずヤマトシロアリと考えて差し支えありません。ただし分布は調べ直されるものなので、最新の分布と2種の判別は協会のQ&Aでお確かめください。
ヤマトシロアリの性質で、持ち主の方に知っておいていただきたいのは二つです。ひとつは、湿った木材を好み、乾いた材には広がりにくいこと。協会の説明では、建物では風呂場や台所などの湿気の多い水回りの下部材が被害の中心とされています。もうひとつは、イエシロアリのように大きな巣を作って家全体を一気に食い進む種類ではなく、水のある場所の近くで、土台から柱の足元へと、ゆっくり広がることです。
つまり、シロアリの被害は「水の道」の上に乗って進みます。当社が現地で見てきた順番は、ほぼ決まっています。床下の地面が湿っている、雨漏りの水が壁の中を伝って足元にたまる、風呂場や台所の配管から漏れている。そういう場所の土台がまず食われ、次に土台の上に立つ柱の足元(柱脚)に上がり、根元が空洞になって柱が沈みます。傾いた家のページで、北側の水回りだけ床が沈んでいる家はたいてい土台と柱脚(柱の根元)の腐りだと書いたのは、この順番があるからです。梁や大黒柱まで上がるのは、何年も水が止まらなかった家で、そこまで進んだ家はまれです。
北陸の家がシロアリと無縁でない理由も、水にあります。雪解けと梅雨で床下が乾く時間が短く、屋根雪で瓦がずれれば春から雨が入り、人が住まなくなった家は窓を開ける人がいないので湿気が抜けません。逆に言えば、水が止まっていて床下が乾いている家では、被害は広がりにくいということです。「シロアリがいる家」という言葉でひとくくりにせず、どこが湿っていて、どこまで食われたかを見る。それが直せるかどうかの判断のすべてです。
久しぶりに実家に入ったとき、専門の道具がなくても分かる手がかりが4つあります。見つけたら、場所と一緒に写真を撮っておいてください。それだけで、当社のおおよその金額の精度が上がります。
手がかりを見つけた方の多くは、まず駆除業者に電話をします。ただ、売ることを考えているなら、駆除は先でなくていいのです。理由は三つあります。第一に、駆除は薬剤で虫を止める作業で、空洞になった土台や柱を元に戻す作業ではありません。決め手になるのは「虫がいるか」ではなく「どこまで食われたか」で、それは駆除業者ではなく大工が見るものです。第二に、水が止まっていなければ、乾かない木にまた入ります。第三に、当社に売る場合は、駆除の費用を売主が出しても買取価格には響きません。当社は直す工程の中で、水を止め、材を替え、必要な処理を一緒に行うからです。
住み続ける家で、いま羽アリが出て困っているなら、駆除を急ぐのは当然です。
当社の見方はひとつです。食害が土台と柱の足元で止まっているか、梁や大黒柱まで上がっているか。前者は直せます。後者は範囲次第で、直す費用が建て替えに近づくことがあります。
富山の古い民家で、もう一つ知っておいていただきたいのは石場建てです。礎石(柱の下に据えた石)の上に柱が載っているだけの伝統構法で、そもそも土台がありません。「土台がシロアリにやられた」という話が当てはまらない代わりに、地面に近い柱の足元が直接湿ります。この場合は柱脚を根継ぎし、沈んだ礎石を据え直します。使い方によっては、このときに鉄筋コンクリートの基礎を新しく作って柱を固定します。富山の古民家再生の手引きに書いたとおり、北陸の民家は雪の重さを受けるために太い柱と梁で組まれていて、築100年でも骨組みが生きていることが多くあります。太い材は表面が食われても芯が残っていることがあり、その分、根継ぎで残せる範囲が広いのです。
目安として、床の沈みが北側の水回りの一角にとどまっている家は、まず直せる側です。2階の床まで傾いている、天井が落ちている、雨漏りが何年も止まっていない家は、上まで上がっている可能性があるので、現地で小屋組まで見ます。
シロアリの被害は、虫の問題である前に水の問題です。湿った木があるからシロアリが来る。だから当社は、駆除を工事の最初には置きません。順番はこうです。
1と2を飛ばして駆除だけを頼むと、よくあるのが「数年後にまた出る」という結果です。雨漏りを放っておいた家のページで、雨水が屋根から柱の頭、壁の中、足元へと進む順番を書きました。シロアリはその終点で待っているものだと考えると、直す順番が自然に決まります。
売る方にとって大事なのは、この4つの工程は、売主がやる必要のないものだということです。当社が買い取る家では、当社がこの順番で直します。売主が先に駆除業者を入れる必要も、床を開けて材を替える必要もありません。
シロアリの跡がある家を仲介で売るとき、避けて通れないのが告知と契約不適合責任です。少し法律の話をします。
引き渡した家の種類・品質・数量が、契約と違っていたとします。この場合、買主は売主に、修理など足りない分を直すこと(562条)、代金を下げること(563条)、損害の弁償と契約の取り消し(564条)を求められます。民法でこう決まっています。買主は、不適合を知ったときから1年以内に売主へ知らせなければなりません(566条)。さらに、「責任を負わない」という約束(担保責任を負わない旨の特約)をしていても、売主が知っていて言わなかったことについては、責任を免れません(572条)。条文はe-Gov法令検索の民法でお確かめください。
シロアリの跡は、この「品質の不適合」の典型です。仲介で一般の人に売る場合、蟻道(シロアリの通り道)や床の沈みを知っていれば、買主に伝える書類に書きます。知っていて書かないと、「責任を負わない」と約束していても、責任を問われます(民法572条)。買主が住み始めてから床下で蟻道が見つかれば、修補の費用や減額の請求が売主に来ることがあります。この「引渡し後も責任が残る」状態が、仲介で傷んだ家を売るときの重さです。売主が県外に住んでいれば、なおさらです。
当社の買取で契約不適合責任が免責になるのは、買主である当社が不適合を承知のうえで買うからです。現地調査で床下に入り、柱の足元を叩き、小屋組を見て、食害の範囲と直し方を分かったうえで契約します。分かって買った買主が、あとから「知らなかった」と言うことはできません。免責はその前提の上に成り立つ約束です。だからこそ、当社は売主の方に、分かっている範囲のことを隠さず教えてくださいとお願いしています。告げてもらう理由は、隠すためではなく、免責を成立させるためです。「羽アリが出たのは3年前」「風呂場の床は10年前に一度直した」といった話が、そのまま当社の調査の手がかりになります。
なお、仲介で売る道を否定するものではありません。骨組みが健全で、被害が土台の一区間だけなら、駆除と補修をしたうえでお知らせして仲介で売り、当社の買取より高く手放せることもあります。その場合も、補修の見積は当社で出せます。直す見積と買取の値段が同じ会社から出るので、どちらが手元に残るお金として多いかを、数字で並べて決めていただけます。
直す場合の費用は、被害の範囲と、何と一緒にやるかで決まります。当社の目安を、建築工事費で書きます。
被害が土台の一区間と柱脚の1〜2本にとどまる家は、部分の補修で済みます。当社は雨漏りや水回り1か所などの傷んだ所だけの修理を数十万円の補修から受けていて、土台の差し替えと根継ぎ、水の道を止める工事もこの範囲に入ることが多くあります。床と壁を開けて、材を替えて、閉じる。工事の日数は短く、住みながらでも進められます。
柱の足元が何本も食われ、家が傾いている家では、根継ぎと建て起こしを、耐震補強の一部として考えます。当社の目安は、耐震補強(壁量・金物・基礎)で250〜700万円。石場建ての古民家で柱を建て起こし、礎石を据え直す、あるいは基礎を新しく作る工事は、この中で考えます。一見高く見えますが、理由があります。柱を起こすには床と壁の一部を開けます。金物(柱と梁をつなぐ補強の金具)を入れるにも同じ場所を開けます。屋根を軽くするにも、建て起こしにも足場が要ります。傾きのページに書いたとおり、別々に3回頼めば、足場を3回組み、床を3回剥がします。一度にやれば1回で済みます。屋根の葺き替え(瓦・雪対策)200〜450万円も同じ足場です。
直して住む、直して貸す、直して宿にする、どの道でも、シロアリの補修は構造(柱や梁など、家を支える部分)の工事とまとめて計画するのが当社の考えです。金額は無料の現地調査のあとに確定し、床下を開けてから分かる土台の腐りのように、見積もりより高くなりそうな項目はおおよその金額の段階で先にお伝えします。
直さずに手放す場合、この費用は売主にはかかりません。当社の買取価格は、この修理費を見込んだうえで付ける値段です。「直す費用」と「買取の値段」を同じ会社が同じ調査から出すので、直して持ち続けるか、直さずに手放すかを、同じ物差しで比べられます。

相談は、写真から始まります。片づけも掃除も要りません。分かる範囲で構いませんので、次の3か所を撮って、場所と一緒にLINEで送ってください。県外にお住まいで帰れない場合は、鍵をお預かりして当社が見に行きます。
写真をいただければ、おおよその金額の幅をお返しします。そのうえで現地調査に伺い、当社は次の順番で見ます。床下に入り、土台の腐りと蟻道、礎石と柱のずれを確かめる。柱の根元を一本ずつ叩き、根継ぎで直せる範囲を測る。小屋組に上がり、梁と柱の頭に水が回っていないかを見る。所要は1時間ほどで、この3か所で骨組みの値打ちがほぼ決まります。調査は無料で、お断りいただいても費用はかかりません。
調査のあと、直せる家であれば「直す費用」と「買取の値段」の両方をお伝えします。直せない家であれば、そう正直にお伝えします。買い取る場合は、家財が残ったまま、相続登記は引渡しまでに済ませていただき(提携の司法書士をご紹介します)、現地調査から最短2週間で引渡しです。
できます。羽アリが飛ぶのは巣が家の中にある印ですが、それだけでは食害の範囲は分かりません。当社の査定は、床下と柱の足元を見て食害がどこで止まっているかを確かめるもので、虫が動いているかどうかは値段の決め手になりません。駆除をしてから連絡する必要はなく、羽が落ちていた場所の写真があれば、調査の手がかりになります。
売れます。当社の買取では、駆除の履歴や保証書のあるかないかは条件になりません。現地調査で食害の範囲を当社が確かめ、承知のうえで買うので、引渡し後の契約不適合責任は免責です。分かっている範囲のこと(羽アリを見た年、床が沈み始めた時期、風呂場を直した記録など)を教えていただければ、調査の精度が上がります。
食害が土台と柱の足元で止まっていれば、解体せずに直せます。土台は傷んだ区間を差し替え、柱は腐った足元だけを切って新しい材を継ぐ根継ぎで直します。北陸の民家は太い柱で組まれていることが多く、表面が食われても芯が残っていれば残せます。梁や大黒柱まで広い範囲が腐っている場合は直す費用が建て替えに近づくので、現地で小屋組まで見て決めます。
仲介で一般の買主に売る場合は、駆除と補修をしてお知らせしたほうが話は進みやすくなります。ただし駆除は虫を止める作業で、空洞になった土台や柱は元に戻らないため、補修が別に要ります。当社の買取では、駆除の費用を売主が出しても買取価格には響きません。当社が直す工程の中で水を止め、材を替え、防蟻の処理を行うからです。売ることを考えているなら、駆除の前に写真を送って、直せる家かどうかと値段を知る順番をお勧めします。
一般論として、シロアリは土の中を移動する生き物で、隣家の被害が自分の家から来たと特定するのは難しいとされ、法的な責任を問われる場面は多くありません。ただし、空き家の管理を怠って近隣に迷惑をかけている状態は、空家等対策特別措置法の管理不全空家(放っておくと危ないと市町村に指摘された空き家)の対象になり得ます。隣家から苦情が来ている場合は、責任のあるかないかを争うより、家をどうするかを早く決めるほうが穏やかに済みます。個別の判断は弁護士にお確かめください。
北側の水回りの一角だけ床が沈んでいる家は、たいてい土台と柱脚の腐りかシロアリです。一方、家全体が一方向に傾いている場合は、地盤や礎石が原因のこともあります。傾きの4つの原因と直し方は、傾いた家・古民家は直せるかのページに分けて書きました。原因が重なっている家も珍しくないので、床下を見て確かめます。
食害の範囲によるので、一律の割合はお伝えできません。当社の買取価格は、土地の値段に建物の評価を加え、そこから修理費と売れ残るおそれを引いたものです。土台の一区間と柱脚の数本で済む家なら、引く修理費は数十万円の補修の範囲で収まることが多く、建物の評価はほぼ残ります。解体を前提にした査定と違い、解体費や家財の処分費は引きません。写真と場所を送っていただければ、おおよその金額の幅をお返しします。
本ページは一般的な解説です。シロアリの種類と生態は公益社団法人日本しろあり対策協会の公開資料を、契約不適合責任は民法(e-Gov法令検索)を出典にしています。直せるかどうか、いくらかかるかは、床下と柱の足元を見なければ確定できません。金額はすべて建築工事費の目安で、2026年9月時点のものです。
床の沈み、柱の根元、蟻道。分かる範囲の写真と場所だけで構いません。家財が残ったまま、登記前でも、県外からでも。査定は無料で、断っても費用はかかりません。
傾き、雨漏り、耐震(地震に強くすること)。シロアリと一緒に出てくる傷みの直し方と、直さずに売る道をそれぞれのページにまとめています。