売るまえに読む / 片づいていない実家
片づいていない実家でも、家財ごとそのまま売れます。片づけ業者を呼ぶ前に決めること
親の家に入ったら、物で床が見えなかった。片づけ業者の見積は想像より多く、県外からは通えない。片づけずに売る道と、先に止まってほしいことを書きました。
- 片づけが要るかは、家の状態ではなく「誰が買うか」で決まる
- 片づけ費用を先に払っても、買取額は同じだけ上がらない
- 相続放棄を考えているなら、家財に手をつけない(民法921条)
売るまえに読む / 片づいていない実家
親の家に入ったら、物で床が見えなかった。片づけ業者の見積は想像より多く、県外からは通えない。片づけずに売る道と、先に止まってほしいことを書きました。

片づけが要るかどうかは、家の状態ではなく、誰が買うかで決まります。
仲介で個人の買主に売るなら、片づけは事実上必須です。買主はそこに住む人で、内見(買う前に家の中を見に行くこと)のときに床が見えない家は候補から外れます。不動産会社も、家財が残ったままでは広告の写真が撮れません。だから仲介の流れでは、片づけ業者を呼び、清掃をして、それから売り出す。片づけの費用は売主の負担で、売れるまでの固定資産税や火災保険、草刈りや雪下ろしといった維持費(年15〜40万円が目安)も、売れるまで続きます。
当社の買取は、前提が違います。当社は自社が買主になる直接買取で、買い取った家を解体せず、直して次の住み手に引き渡す工務店です。家の中の物は、そのままで結構です。家財道具も、仏壇も、納屋の農機具も、蔵の中身も、残ったままで買い取り、処分は当社で行います。
ここで、多くの方が迷う点があります。「先に片づけておけば、そのぶん高く買ってもらえるのでは」という考えです。答えは、片づけ費用を先に払っても、買取額は同じだけ上がらない、です。理由は単純で、当社は買い取った家を直す前提で査定(いくらで買い取れるか値段を出すこと)しているからです。直す工事では、内装(壁紙や畳など、内側の仕上げ)を解体し、畳や建具を外し、廃材を運び出します。家財の搬出は、その解体と同じ日程、同じトラック、同じ人員で進みます。そのため、当社の査定では、家財の処分費を大きくは差し引きません。その反対に、あなたが先に片づけ業者に払ったお金が、そのまま買取額に上乗せされることもありません。
つまり順番はこうです。まず、家財ごとの状態で当社の査定を受ける。その金額を見て、仲介で売るために片づけるほうが得か、そのまま当社に売るほうが得かを決める。片づけ業者の見積を先に取って、支払ってから査定を頼むと、二重に払う形になりかねません。査定は無料で、家財が残ったまま、県外からでも受けられます。富山の空き家・古民家買取のページに、買取の仕組みと仲介との比較をまとめています。

それでも自分で片づけてから売りたい、あるいは兄弟がそう言っている。そういう方のために、片づけを頼む相手と、費用の決まり方を整理します。金額の相場そのものは、家の大きさと物の量で幅が大きく、当社は片づけ業者ではないので言い切りません。業者を選ぶときは、見積の内訳が次の要素で説明されているかを見てください。
頼む相手は、大きく3種類です。不用品回収は、家具や家電をまとめて運び出す業者です。量と台数で値段が決まります。遺品整理は、残す物と処分する物を分けながら進める業者です。仕分けの手間がある分、人数と日数で値段が決まります。特殊清掃は、におい、体液、害虫、腐敗した生ごみなど、通常の清掃では戻らない状態を消毒・消臭する作業です。片づけとは別の見積になります。
費用を動かす要素はいくつかあります。物の量(トラックの台数)、作業をする人数と日数、処分費(処分場の料金や、家電リサイクルなど品目ごとの費用)です。ほかに、建物の条件(2階があるか、階段の幅、トラックを近くに着けられるか、駐車できるか)、特殊清掃が要るかどうか、買い取れる物があるかどうかも関わります。富山の農家住宅は延べ床が広く、母屋のほかに納屋や蔵があるので、都市部のマンションの相場をそのまま当てはめると外れます。母屋だけの見積か、納屋と蔵まで入っているかは、必ず確かめてください。
業者選びで、ひとつだけ法律の話をします。家庭から出るごみは「一般廃棄物」で、その収集運搬を業として行うには、市町村長の許可が要ります(廃棄物処理法第7条)。環境省は、産業廃棄物の許可や古物商の許可だけでは家庭ごみを運べないこと、「無料回収」をうたって巡回する業者に高額請求や不法投棄の事例があることを注意喚起しています。富山市は、家庭のごみは市が直営か委託で集めていて、家庭から出るごみを集めて運ぶ許可は今は出していないと案内しています。富山市の家なら、運び出した家財をどこへどう出すのかを業者に聞き、市のごみの担当にも確かめてください。国民生活センターも、遺品整理サービスの当日の追加請求や、残すはずの品を処分された相談を公表しています。見積書に作業日、作業範囲、追加料金の条件、残す物の一覧が書かれているかが、確認の要点です。
もうひとつ、見積書に載らない費用があります。県外からの交通費と、休みの日数です。片づけを業者に頼む場合でも、見積の立会い、残す物の仕分け、作業当日、仕上がりの確認と、少なくとも数回は帰省が要ります。この回数と休暇を金額に直すと、見積書の額とは別に、無視できない自分で払う分になります。
県外にお住まいの方が「実家の片づけ」と聞いて思い浮かべるのは、居間と寝室の家具や衣類だと思います。富山の農家住宅で実際に残っているのは、その何倍もあります。当社が現地で見ているものを、建物ごとに挙げます。自分の実家に当てはまるものを数えてみてください。
これらは「ごみ」ではありません。どれも、親が使い、いつか使うと思って置いた物です。ただ、片づけ業者の見積では、そのほとんどが分別と処分の対象として台数に換算されます。当社の見方は違います。農機具や蔵の道具の一部には値が付き、建具や古材は直す工事で使い、残りは工事の廃材と一緒に運び出す。分けるのは当社の仕事です。写真を送っていただければ足ります。
片づけに手を付ける前に、三つだけ確かめてください。順番を間違えると、取り返しがつかないものがあります。
ひとつめ。相続放棄を考えているなら、家財に手をつけないでください。相続人が相続財産の全部または一部を「処分」したときは、単純承認(相続をそのまま受け入れること)したものとみなされ、放棄ができなくなります(民法921条)。家財を業者に出す、売る、預金を引き出して片づけ費用に充てる。こうした行為が「処分」に当たるかどうかは個別の判断で、保存行為や経済的価値の低い形見分けは一般に問題ないとされますが、当社が線を引くことはできません。親に借金があるかもしれない、兄弟の一人だけ放棄したい。そういう事情があるなら、片づけ業者より先に司法書士(登記の手続きを代わりに行う専門家)に相談してください。放棄の期限は相続を知ってから3か月で、当社の査定はその間に家財が残ったまま受けられます。詳しくは相続放棄しても空き家は消えないの「兄弟の一人だけ放棄したいとき。家財を片づけると放棄できなくなる?」をお読みください。
ふたつめ。貴重品と書類は、業者を呼ぶ前に探してください。片づけ業者の作業は速く、袋に入った物は中身を見ずに運ばれます。探す場所は決まっています。仏壇の引き出しと下段、箪笥のいちばん上か下の段、押入れの天袋、桐箱の中、台所の缶や瓶、寝室の枕元、机の引き出し、鍵のかかる手提げ金庫。探す物は、権利証(登記識別情報)、通帳と印鑑、年金手帳、保険証券、有価証券、現金、貴金属、そして写真です。権利証が見つからなくても家は売れます。司法書士が本人確認の別の手続きで補いますので、ご安心ください。ただし通帳や保険証券は、相続の手続きそのものに要ります。
みっつめ。建具、古材、道具を捨てないでください。欄間、格子戸、障子と襖の枠、板戸、桐箪笥、囲炉裏の自在鉤、梁の古材。蔵や建具、古材には値が付くことがありますし、当社は買い取った家を直して使うので、その家の建具はその家の工事で使うのがいちばん合います。片づけ業者の見積では、これらは「木製品」として処分費に数えられることがほとんどです。捨てる前に、写真を一枚送ってください。値が付くかどうかは、写真を見てお答えします。

片づいていない家の相談で、いちばん多く聞かれるのが仏壇のことです。「仏壇はどうなりますか」「魂抜きは誰がやるのですか」「位牌を自分の家には置けないのですが」。当社の答えは、ひとつです。仏壇、位牌、神棚、写真、思い出の品だけは、処分の前に必ずご希望を伺います。遠くにいても、大事なものの行き先はあなたが決められます。
仏壇と神棚については、閉眼供養(魂抜き、お性根抜き)の手配だけお願いすることがあります。宗派によって呼び方も要否も違い、菩提寺との付き合いは家ごとに違うので、当社が代わりに決めることはしません。まず菩提寺に電話をして、実家を手放すこと、仏壇を動かすことを伝えてください。お布施や日程は、お寺に直接お確かめください。菩提寺が分からない、遠くて頼めない、という場合は、その旨をお知らせいただければ、進め方を一緒に考えます。供養を済ませた仏壇の運び出しと処分は当社で行います。
位牌は、ご自宅に移す方、菩提寺に預ける方、小さな位牌に作り直す方、永代供養に出す方と、さまざまです。菩提寺に相談すれば、その宗派での扱いを教えてもらえます。写真のアルバムは、一冊ずつ見る時間が取れないまま家を手放す方が多いので、当社が現地に入る際に、アルバムと写真の箱は別にまとめて、処分せずお送りするか、お預かりします。届いてから、ゆっくり選んでください。
親の遺品を「ごみ」として運び出すことに、後ろめたさを感じる方は多いと思います。当社は、家を壊さずに直す工務店です。家財を運び出すのは、その家に次の住み手を入れるためです。位牌を手元に残し、家はそのまま次の人が住み継ぐ。それも、ひとつの供養の形だと考えています。
当社が家財ごと買い取るときの流れです。片づいていない家でも、片づいている家でも、段取りは同じです。違うのは、③と④に少し時間をかけることだけです。
危険物の扱いについて、先に書いておきます。灯油のホームタンクに残った灯油、農薬の瓶や缶、肥料、プロパンガスのボンベ、消火器、バッテリー、廃タイヤ。これらは、家庭ごみとして出せない物です。種類ごとに、引き取ってもらう先が違います。ボンベはガス会社に返し、農薬はメーカーや市町村の案内に沿って処分し、灯油は残量によって抜き取りを手配します。これらは当社が現地で種類と量を確かめ、扱いをご相談したうえで進めます。「納屋に農薬の棚がある」「タンクに灯油が残っている」と最初に教えていただけると、早く進みます。ご自身で処分しようとして、下水や庭に流すことだけは避けてください。
「家財がこれだけあると、査定はマイナスになりますか」とよく聞かれます。正直にお答えします。家財の量で、当社の買取価格が大きく下がることはありません。ただし、ゼロでもありません。
更地にして土地として売る前提の買主は、土地の値段から解体費を引きます。富山の木造住宅で坪3〜5万円前後、延べ床40坪で約150〜200万円から、蔵や屋敷林(家のまわりの風よけの林)を含む農家住宅では総額300万円を超えることが珍しくありません。家財の処分費は、この解体費の上にさらに載ります。中に物が多いほど、解体の前に搬出の日数が要るからです。
当社の査定は、直す前提です。土地の値段に、柱と梁と間取りという建物の評価を足し、直すのに要る修理費と、売れ残るおそれを引きます。解体費は引きません。壊さないからです。家財の処分費も、大きくは引きません。最初の節に書いたとおり、家財の搬出は直す工事の解体と同じ工程に入るからです。
それでも「ゼロではない」のは、量が極端な場合と、特殊清掃が要る場合です。家の中に入れないほど物が積まれていれば、解体の前の搬出に日数が増えます。腐敗した食品や体液、害虫の発生があれば、消毒と消臭の工程が加わります。こうした場合は、その分を修理費の側に見込みます。ただし、それは片づけ業者に払う金額とは別の計算で、当社が工事の一部として行うので、あなたが先払いする必要はありません。
買取価格は、仲介で売れた場合より低くなります。修理費、売れ残るおそれ、片づけの手間を、買主である当社が引き受けるからです。その代わり、片づけ費用を先に払うことも、売れるまで維持費を払い続けることもありません。損得は、この二つを引いたあとの手元に残るお金で比べてください。傷みが進んだ家の値の付き方は、傷んだ家は買い取れるかに段階ごとに書きました。


当社が古民家を直した事例です。直す前の和室は、畳と建具を外し、天井を抜くところから工事が始まります。家財の搬出は、この解体と同じ日程で進みます。天井を抜いて梁を見せた階段室にし、民泊(家を旅行者に泊める宿)として開業しました。工期4か月、建築工事費900万円。→ この事例を詳しく見る
片づいていない家を手放すとき、もうひとつの心配は「近所の目」です。親が長く住んだ集落で、家の中の状態を知られたくない。片づけ業者のトラックが何日も止まり、袋が山になる光景を見られたくない。その気持ちは、もっともです。
当社の買取では、売り出しの看板は立てません。仲介ではないので、広告も出しません。現地調査は普通の乗用車で伺い、外から見て分かる作業はしません。家財の搬出は引渡し(鍵を渡して、持ち主が替わること)のあと、当社の工事の一部として行うので、近所から見えるのは「工務店が改修工事をしている」光景です。片づけ専門のトラックが別に来ることはありません。搬出の時期も、雪の時期を避ける、お盆や祭りの前後を避ける、といったご希望があれば伺います。
県外から、一度も帰らずに進めることもできます。上の段取りで、帰省は多くの場合ゼロか1回で済みます。1回お願いする場合は、理由と日程を先にお伝えします。「行ってみないと分からない」という進め方はしません。相続登記(亡くなった方から名義を移す手続き)、司法書士の本人確認、ご兄弟で相続した家を売るまでの段取りのご案内(提携する司法書士・税理士のご紹介を含む)は、富山に帰らずに実家を売る方法にまとめました。
売るまでの間、あるいはまだ売ると決めていない間、家財が残った家をどう保つか。屋根雪、凍結による水道管の破裂、草刈り、そして管理不全空家(放っておくと危ないと市町村に指摘された空き家)の通知への対応は、県外から富山の空き家を管理する年間カレンダーに月ごとに書きました。家財の多い家は、湿気がこもりやすく、ねずみや虫が入りやすいので、冬の前に一度は風を通す手配をお勧めします。
はい。冷蔵庫の中身や食品、台所の生ごみが残ったままで構いません。腐敗が進んでいる場合は消毒と消臭の工程を修理費の側に見込みますが、先に片づけていただく必要はありません。電気が止まっている冷蔵庫は開けずに、そのままにしておいてください。
できます。中に入れない家でも、外から屋根、足元、床下換気口を見れば骨組みの見当はつきます。現地調査は当社が装備をして入りますので、ご自身で入っていただく必要はありません。特殊清掃が要る状態であれば、その分を査定の内訳としてお伝えします。
車両は家財と違い、名義変更か廃車の手続きが持ち主側に要ります。必要な書類(車検証、印鑑証明など)と手続きの流れをご案内し、業者の手配は当社で行えます。農機具は家財と同じく、残したままで構いません。
引渡しの前に、残す物を決めていただくのが原則です。現地の在庫写真をご兄弟にも共有し、印を付けていただければ、当社がまとめてお送りするか、引渡しまで保管します。引渡しの後は当社の工事が始まりますので、取り出しは事前にご相談ください。
できます。持ち主がご健在のうちは、売るかどうかの決定は持ち主ご本人の意思によります。ご本人と一緒に、家財ごとのおおよその金額と段取りを先に知っておく、という相談は多くいただいています。判断能力に不安が出てからでは手続きが複雑になるので、早いほうが選べる道が多くなります。
契約前であれば、その見積を手元に置いたまま、当社の家財ごとの査定を受けてください。二つを並べれば、片づけてから仲介で売るのと、そのまま当社に売るのと、どちらの手元に残るお金が多いかが分かります。契約後であれば、キャンセル料の条件を見積書で確かめてからご相談ください。
大きくは引きません。当社は買い取った家を直して使う前提で、家財の搬出は工事の解体と同じ工程で行うためです。家の中に入れないほどの量や、特殊清掃が要る場合は、その分を修理費として見込みますが、内訳はお伝えします。片づけ費用を先に払っても、その金額がそのまま買取額に足されることはありません。
はい、売れます。当社は家財が残ったままで買い取るので、遺品整理を先に済ませる必要はありません。先に査定を取れば、片づけ代を払うより得かどうかが分かります。相続放棄を考えている方は、家財を処分する前に弁護士か司法書士に相談してください。くわしくは遺品整理の前に、実家を家財ごと売るをご覧ください。
本ページは一般的な解説です。相続放棄と単純承認の境目、供養の作法、廃棄物の扱いは個別の事情と市町村・宗派で変わります。法律の判断は司法書士・弁護士に、供養は菩提寺に、ごみの区分は市町村にお確かめください。制度の内容は2026年9月時点のもので、公式の案内のほうが正しいとお考えください。
玄関から一枚、いちばん物の多い部屋を一枚、屋根と外まわりを一枚。それで家財ごとのおおよその金額をお返しします。査定は無料で、断っても費用はかかりません。
帰らずに売る段取り、相続放棄との関係、傷んだ家の値の付き方、蔵と納屋の扱い。片づいていない家の悩みは、たいてい隣の悩みとつながっています。