「タダでもいいから引き取ってほしい」。そう考えて、隣の方や知人に0円で譲る相談は少なくありません。お金が動かないぶん簡単に見えますが、起きることは三つあります。受け手側の税金、残されたままの家財と修理の揉めごと、そして個人間の契約不適合責任です。
税金は、受け手にかかります。個人から、とても安い値段で財産を譲ってもらったとします。その場合、本来の値段(時価)と実際に払った額の差は、「ただでもらった(贈与)」ものとして扱われます(相続税法7条、国税庁 タックスアンサー No.4423)。土地や家屋の「時価」は、通常の取引価額に相当する金額です。仲介の査定が0円でも、税務上の時価が0円とは限りません。さらに「不動産取得税」もあります。土地や家を手に入れた人にかかる税金で、お金を払ったか、ただでもらったかは関係ありません。相続で手に入れたときはかかりません。ただでもらった(贈与)ときはかかります(住宅・土地の税率は3%、2027年3月31日まで。富山県 不動産取得税)。所有権移転の登録免許税も、相続なら不動産の価額の0.4%のところ、贈与は2%です(国税庁 No.7191 登録免許税の税額表)。「タダで受け取る」側には税金の請求が来ます。ここを伝えずに譲ると、あとで関係がこじれます。
残されたままの家財と修理は、口約束で揉めます。「家財はそのままでいい」と聞いていたのに、引き渡してから「やっぱり片づけてほしい」と言われる。屋根の雨漏りを「知っていたのに言わなかった」と言われる。個人間では、こうした話を止める仲介者がいません。譲る前に、残す家財の範囲、知っている不具合、境界、隣地との取り決めを書面にして、双方が署名しておく必要があります。
個人間の譲渡でも、契約不適合責任は残ります。0円だから責任がない、ということにはなりません。契約書に免責(責任を負わなくてよいこと)の条項を入れなければ、引渡し後に見つかった不具合について、受け手から修理や損害の請求を受ける可能性があります。免責を入れるかどうか、入れるならどう書くかは、司法書士(登記の手続きを代わりに行う専門家)か弁護士に確かめてください。契約書の作成、登記(土地や家の持ち主を記す国の記録)の申請、受け手への税金の説明まで、すべて自分で段取りすることになるのが、この道の実際の姿です。
当社の買取では、契約書は当社が用意し、登記は提携する司法書士が行い、引渡し後の契約不適合責任(引渡し後に見つかった不具合を、売った側が直す責任)は免責です。譲渡先の当てがある方も、その前に一度、壊さない前提の値段を確かめておくことをお勧めします。0円で譲る家に値が付いたなら、譲る側にも受ける側にも、無理のない話になります。