売るまえに読む / 富山の実家の手放し方

富山の実家は、平野部と山間部で正解が違います。
解体する前に知っておく3つの出口

「壊して更地(建物を壊した、何もない土地)が一番早いですか」と、実家を相続した方から聞かれます。答えは、平野の町なかか、山あいかで変わります。傷み方、解体費、出口(売る・貸す・持ち続けるなど、最後にどうするか)を分けて書きました。

雪の田と立山連峰(高岡市戸出)雪の田の向こうに家並みと立山連峰が並ぶ富山平野(高岡市戸出)
写真: kiwa dokokano「Toideichinose, Takaoka」(CC BY-SA 3.0)・トリミング
1 外観と室内の写真を送るだけ。片づけ不要、県外からでもLINEで無料査定 2 9:00 - 17:00 / 17時以降は現場担当直通 お電話で相談する
昭和45年創業/富山市八尾町
宅建業+建設業免許と許可を両方持つ工務店
査定・調査 0円断っても費用はかかりません
富山・石川・飛騨県外の方の相談も可

平野部と山間部で、傷み方も出口も違います

富山県は、県土の7割が山地です。人口は平野に集まっていますが、相続で問題になる実家の多くは、平野の縁から山あいにかけて建っています。同じ「築60年の木造」でも、置かれた環境で家の状態と出口はこれだけ変わります。

平野部(富山市街・高岡・射水・砺波の町なか)山間部(南砺・八尾・上市・立山・大沢野など)
主な傷み湿気・結露で土台と柱の根元が腐る。雨漏りの放置。季節風で瓦がずれる屋根雪の重みで梁がたわみ、軒が垂れる。凍害で外壁が割れる
近所との摩擦庭木の越境、雑草、瓦の落下落雪が道路や隣家に落ちる。草刈り当番
解体費大型の工事機械は入る。隣家が近いと手作業で壊すことの部分が増える道が狭く大型の工事機械が入らない。手作業で壊すこと中心で費用が跳ね上がる
仲介での売れ方安ければ売れる。ただし建物は0円評価「売れない」と断られることが多い
眠っている価値立地。町なかの土地は貸す・建て替える需要がある建物。太い梁、欅の大黒柱、枠の内、広い土間

この表の右下、「建物の価値」が山間部の逆転の鍵です。順に説明します。

平野部:湿気と越境、更地にした後の落とし穴

土蔵造りの町並み(高岡市木舟町)黒漆喰の土蔵造りの商家が並ぶ高岡市木舟町の通り
写真: Khafre「土蔵造りの町並み 高岡市木舟町」(CC BY-SA 3.0)・トリミング

土台から腐ります

富山平野の空き家は、雪より水で傷みます。夏は湿度が高く、冬は日本海側特有の重い湿った雪と雨が続きます。人が住まなくなると換気が止まり、床下と押入れに湿気がこもります。土台と柱の根元、いわゆる柱脚(柱の根元)が最初に腐り、次に畳と床板がたわみます。表面は普通に見えても、床下を覗くと白い菌糸が回っていることがあります。

雨漏りは、樋の詰まりから始まることが多いです。庭木の落ち葉が樋に溜まり、水が軒裏に回り、天井板に染みが出る。ここまで来ても、骨組みが生きていれば直せます。放置が3年、5年と続くと、梁まで水が回って話が変わります。

特定空家と固定資産税

平野部、とくに富山市や高岡市の住宅密集地では、傷んだ空き家が「管理不全空家(放っておくと危ないと市町村に指摘された空き家)」や「特定空家(危ないと市町村が判断した空き家)」に指定される例が現実に出ています。指定されて勧告(市町村からの強い注意)を受けると、固定資産税の住宅用地の特例(家が建っている土地の固定資産税を安くする仕組み)が外れ、土地の税額が数倍になります。市役所からの通知は、助言・指導、勧告、命令と段階を踏みますが、最初の手紙が来た時点で動き始めるのが安全です(市役所から空き家の通知が届いたら)。

更地にしても売れない区画があります

「壊して更地にすれば売れる」は、平野部でも半分しか正しくありません。更地にした翌年から、上で書いた住宅用地の特例が外れます。家が建っている間は特例が効いていたのに、壊すと税金が上がるわけです。そのうえで、前面道路が4m未満、接道(敷地が道路に接していること)が2mに満たない再建築不可(今の家を壊すと、新しく建てられない土地)、隣家と壁が接する連棟(隣の家と壁がつながった建物)。富山市の八尾や岩瀬、射水の内川沿い、高岡の山町筋の周辺には、こういう区画が珍しくありません。更地にしても建て替えられない土地は、仲介市場で長く残ります(再建築不可・未接道の家は売れるのか)。

平野部の実家で先に確かめるべきは、「壊す前に、建物ごと引き取る相手がいるか」です。家財が残ったままでも、床が抜けていても、今のまま査定できます。

壊すか残すかの見当を先につけたい方は、解体するか残すかの判定で、8つの質問に答えてみてください。平野部か山間部かも、答えに入れて判定します。

山間部:雪と道と集落。解体費が跳ね上がる理由

菅沼集落へ下る雪壁の道(南砺市五箇山)雪壁の間を抜けて菅沼集落へ下る道。奥に合掌造りの屋根(南砺市五箇山)
写真: そらみみ「Road heading for Suganuma」(CC BY-SA 4.0)・トリミング

屋根雪

南砺の五箇山や利賀、立山の芦峅寺、上市の白萩、富山市の山田・細入。国の特別豪雪地帯に指定されてきた地区では、空き家を冬に放っておくことが、そのまま建物の寿命を縮めます。屋根雪は1㎡あたり数百kgになります。人が住んでいれば雪下ろしをしますが、空き家には誰も登りません。梁がたわみ、軒が垂れ、翌春には瓦が落ちています。落雪が道路や隣の敷地に落ちれば、責任は持ち主に来ます(空き家が隣家に被害を与えたら誰の責任か)。県外に住む相続人にとって、「次の冬をどうするか」が手放す時期を決める最大の要因になっています。

大型の工事機械が入らない見積

山あいの集落は道が狭く、家の前に軽トラックがやっと入るような場所が多いです。解体業者の見積は、大型の工事機械が敷地に入れるかどうかで決まります。富山県内の木造住宅の解体は、大型の工事機械が入る前提で坪3〜5万円前後、延床40坪なら150〜200万円からが目安です(富山の解体費用の相場)。ところが大型の工事機械が入らないと、手作業で壊すことと小型機で少しずつ崩し、廃材を人力で道まで運ぶことになります。同じ延床(各階の床面積の合計)でも、300万円を超える見積が出ることは珍しくありません。蔵や納屋、屋敷林(家のまわりの風よけの林)の伐採まで含めると、さらに上がります。

見積を見て「これでは売っても赤字になる」と感じたなら、それは正しい感覚です。壊す前提で計算する限り、山間部の家は赤字になりやすいのです。

不動産会社が「売れない」と言う理由

地元の不動産会社に相談して、「その場所は売れません」と言われた方は多いと思います。これは仲介(不動産会社が買い手を探して売る方法)という仕組みの限界です。仲介は、買い手が現れて初めて成立します。山間部の古い家を買いたい人は、その会社の顧客名簿にはほとんどいません。建物は築年数で0円と評価し、土地は更地価格から解体費を引く。この計算をすると値段が付かない、というだけの話です。家そのものに価値がないと言われたわけではありません。

山間部の古い家こそ、梁と柱に値が付きます

民家の小屋組と梁(高山市・飛騨の里)飛騨の里に移築された民家の小屋組。煤で黒くなった太い梁と、縄で結わえた垂木(高山市・公開施設)
※ 公開施設(高山市・飛騨の里)の民家です 写真: Celuici「House interior, Hida Folk Village」(CC BY-SA 3.0)・トリミング

砺波平野から南砺にかけての散居村(田んぼの中に家が離れて建つ村)には、アズマダチ(砺波地方に多い、大きな屋根の農家の造り)と呼ばれる大屋根の農家住宅が残っています。妻側に入口を持ち、太い梁を井桁に組んだ「枠の内(太い柱と梁を「井」の字に組んだ広間の造り)」を持つ家です。欅の大黒柱が一本通っている家もあります。上市や八尾の山手には、養蚕をしていた時代の名残で2階の天井が高い家があります。五箇山や飛騨には合掌造りの流れをくむ架構(柱と梁の骨組み)が残ります。

こうした家は、現代の住宅では再現できない材と組み方でできています。宿にする、一棟貸し(家を丸ごと一組に貸すこと)にする、カフェや工房にする。移住者の需要も、観光の需要も、この骨組みに向いています。当社は買い取った家を解体せず、自社で直して次の住み手に渡すことを方針にしています。だから、解体費を買値から差し引く必要がありません。

ここで大事なのは、査定には2種類あるということです。

壊す前提の査定(仲介の見方) 土地の値段 − 解体費 山間部では、ほぼ確実にマイナス 建物は築年数で 0 円 壊さない前提の査定(当社の見方) 土地の値段 + 建物を直して 使う価値 骨組みが生きていれば、値が付く 解体費は引かない 同じ家でも、この2つの数字は大きく違う
査定は2種類。壊す前提と、壊さない前提

仲介会社の査定は前者です。工務店として自社で直す当社は後者を出せます。壊す段取りを進める前に、後者の数字を一度見てから決めてください。もちろん、骨組みまで傷んで直せない家は、当社でも更地前提の査定になるか、値が付かないことがあります。それでも、見てから決める方が損は減ります。

山間部の家を残す前提で考える流れは、富山の古民家再生の手引きにまとめています。

家財・仏壇・農機具はそのままで手放せます

仏間の仏壇(高山市の民家博物館)襖に挟まれた仏間の金箔の仏壇と鈴(高山市の民家博物館・公開施設)
※ 公開施設(高山市の民家博物館)の仏間です 写真: Balou46「JP-takayama-museum-hausaltar-2」(CC BY-SA 4.0)・トリミング

当社は家財道具が残ったままの家を、今のまま買い取ります。片づけは当社で行います。

  • 家財:タンス、布団、食器、衣類。分別も搬出も不要です。ただし権利証や通帳、印鑑、写真など、ご家族に必要なものだけは先に探してください。捨てる前に一枚写真を送っていただければ、価値のあるかないかはこちらで決めます。
  • 仏壇:閉眼供養(魂抜き)はご家族の宗派のお寺で済ませてから、本体は当社が引き取ります。段取りが分からない場合はご相談ください。
  • 農機具・農地:トラクターやコンバインは建物の付属物として引き取ります。田や畑が付いている場合は農地法(農地の売り買いを制限する法律)の手続きが必要になるため、家と農地をまとめてご相談ください(田んぼ・山林付きの実家の売り方)。家だけ先に売れる場合もあります。

「片づけてから相談しよう」と考える方が多いのですが、順番は逆です。片づけの費用を先に払っても、買取価格が同じ額だけ上がるわけではありません。相続放棄(財産も借金も一切受け取らないと、家庭裁判所に届け出ること)を考えている場合は、片づけそのものが単純承認(相続をそのまま受け入れること)にあたる可能性があるため、何も触らずに司法書士(登記の手続きを代わりに行う専門家)に相談してください。

片づけの前にやってはいけないことは、実家がゴミ屋敷になっているときの手放し方に詳しく書いています。

処分方法3つの選択肢の比較

今のまま業者買取解体して更地で売る直して貸す・売る(リノベーション再販)
先に払うお金0円解体費(平野部150〜200万円〜、山間部は300万円超も)工事費(数百万〜1,000万円超)
片づけ不要。当社が行います自分で手配自分で手配
期間現地調査から最短2週間で引渡し解体1〜2か月+売れるまで工事半年〜1年+住む人・買い手探し
固定資産税引渡し後は当社負担更地にした翌年から特例が外れて上がる所有し続ける限り払う
向く家家財が残る家、傷んだ家、山間部、再建築不可平野部の、道が広く建て替え需要のある区画資金と時間があり、自分で運営したい人
向かない家骨組みまで腐った家(値が付かないことがある)山間部、再建築不可、密集地の連棟遠方在住で管理できない人
引渡し後の責任免責(お知らせいただいた範囲で)。後から請求しません土地の契約不適合責任が残る貸主・売主として続く

リノベーション再販は「家を残したい」気持ちには合いますが、県外から工事の打合せと運営を続けるのは現実的ではありません。多くの遠方相続人にとって、現実の選択は「解体して更地」か「今のまま買取」の2つです。

手元に残るお金の試算

数字は目安です。土地の価格は場所で大きく変わるため、実際の金額は現地を見て書面でお出しします。

例1:平野部、延床40坪、前面道路4m以上(高岡市の町なかを想定)

今のまま買取解体して更地で売る
土地の売却価格買取価格に含む400万円
解体費0円−180万円
片づけ・残されたままの家財処分0円−40万円
仲介手数料0円−約20万円
売れるまでの固定資産税・草刈り0円−10〜30万円
手元に残るお金買取価格そのもの(土地の価格から工事の手間を引いた額)130〜150万円

平野部で道が広ければ、更地の方が手元に残るお金が上回ることはあります。ただし、売れるまでの期間と手間は更地の方が確実にかかります。

例2:山間部、延床60坪の農家住宅、道幅が狭く大型の工事機械が入らない(南砺市の集落を想定)

今のままの買取(壊さない前提)解体して更地で売る今のままの買取(壊す前提)
土地の価値80万円80万円80万円
解体費引かない−320万円−320万円
建物の再生価値骨組み・梁・造作を評価して加算00
手元に残るお金値が付く可能性がある−240万円(持ち出し)値が付かない

山間部では、壊す前提の計算をする限り、どの相手に頼んでも赤字です。持ち出し(赤字)が手元に残るお金(黒字)に変わるのは、建物にも値段を付ける買い手に見せたときだけです。これが、このページでいちばん伝えたいことです。

期限:相続登記と3,000万円控除

  • 相続登記:2024年4月から義務になりました。相続を知ってから3年以内。売却には登記(土地や家の持ち主を記す国の記録)が済んでいる必要があります。まだ済んでいない状態でも当社は手続きから一緒に進められます(提携の司法書士を紹介します)。
  • 空き家の3,000万円特別控除:相続開始から3年がたつ年の12月31日までに売ることが条件のひとつで、制度自体は2027年12月31日までです。昭和56年5月31日以前に建った家など条件があります(空き家の3,000万円控除)。
  • 取得費加算の特例:相続税を払った方は、亡くなってから3年10か月以内の売却が条件です。

「まだ売ると決めていない」段階でも、期限だけは逆に数えておいてください。詳しくは相続した実家を売るまでの順番へ。

県外からでも進む手順

  1. LINEか入力欄で写真を送る:外観、屋根、室内、床下が見えれば十分です。入れない場合は外からの写真だけで構いません。
  2. 現地調査(無料):当社が現地に伺います。立ち会いは不要です。鍵は郵送で受け取ります。
  3. 金額を書面で提示:1週間以内。壊さない前提の査定です。断っても費用はかかりません。
  4. 契約と引渡し:契約書は郵送でやり取りできます。現地調査から最短2週間。引渡し後の契約不適合責任(引渡し後に見つかった不具合を、売った側が直す責任)は免責です。
  5. 片づけと再生は当社で:家財の搬出、仏壇の引き取り、農地の手続きの整理まで。

帰省はゼロか一回で済みます。雪が来る前に手放したい方は、秋のうちにご連絡ください。現地調査を急ぎます(富山に帰らずに実家を売る方法)。

よくある質問

山あいの実家を地元の不動産会社に「売れない」と言われました。本当に値は付きませんか。+−

仲介の査定は、建物を0円と見て、土地の値段から解体費を引く計算です。山間部ではこの計算がマイナスになるため「売れない」という答えになります。当社は買い取った家を自社で直して次の住み手に渡すので、解体費を引かず、梁や柱が生きていれば建物として値を付けます。壊す前提の数字と、壊さない前提の数字は別物です。骨組みまで傷んで直せない家は、当社でも値が付かないことがあります。

大型の工事機械が入らない場所です。解体費の見積が300万円を超えました。+−

道が狭く大型の工事機械が入らない現場では、手作業で壊すことと小型機で少しずつ崩し、廃材を人力で運ぶため、同じ延床でも大型の工事機械が入る現場より大きく高くなります。壊す前提で計算する限り赤字になりやすいので、先に壊さない前提の査定を受けてください。当社は解体費を買値から引きません。

家財や仏壇、農機具が残ったままです。片づけてから相談すべきですか。+−

片づけは不要です。当社は家財が残ったまま今のままの状態で買い取り、処分も当社で行います。仏壇は閉眼供養を済ませてから本体を引き取ります。農機具は建物の付属物として引き取り、農地が付いている場合は農地法の手続きを含めてまとめてご相談ください。相続放棄を考えている場合は、片づけが単純承認にあたる可能性があるので、何も触らず司法書士に相談してください。

平野部の家です。更地にしてから売った方が高く売れますか。+−

道が広く建て替え需要のある区画なら、更地の方が高く売れることはあります。ただし、解体費と片づけ費を先に払う必要があります。売れるまでの固定資産税と草刈りも払います。そして、更地にした翌年から住宅用地の特例が外れて、土地の税額が数倍になります。前面道路が狭い、再建築不可、連棟といった区画は更地にしても売れ残ります。壊す前に、建物ごと今のままの状態で買い取る場合の金額と並べて比べてください。

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本ページの解体費・手元に残るお金の数字は目安で、土地の価格と建物の状態で変わります。実際の金額は現地調査のうえ書面でお出しします。税制と市町村の制度は年度で変わるため、国税庁と各市町村の公式案内を先にご覧ください。2026年9月時点の情報です。

壊す前に、壊さない前提の金額を。

平野部の湿った家も、山間部の雪に耐えてきた家も、今のまま査定します。写真を送るだけでおおよその金額をお返しします。査定は無料、断っても費用は0円です。

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あなたの実家の地域を、もう少し詳しく。

市町村ごとの家の事情と、雪と道と土地の話を、それぞれ別のページにまとめています。

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執筆:北陸ホームズ 牧村 航汰 更新

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