売るまえに読む / 空き家の通知と勧告
市役所から空き家の封書が届いた。その手紙はどの段階か、いつまでに何をすればよいか
封書の多くは「お願い」で、強制力はありません。放っておくと助言・指導、勧告(市町村からの強い注意)、命令、代執行(市町村が代わりに取り壊して費用を請求すること)と進みます。手順があります。
- 段階は5つ。勧告を受けると翌年度から土地の税が上がる
- 最初にやるのは担当課へ電話一本。県外から来庁不要
- 今のままの状態で売れるのは原則、命令が出る前まで。最短2週間
売るまえに読む / 空き家の通知と勧告
封書の多くは「お願い」で、強制力はありません。放っておくと助言・指導、勧告(市町村からの強い注意)、命令、代執行(市町村が代わりに取り壊して費用を請求すること)と進みます。手順があります。

市役所からの封書は、一通ではありません。お願い、助言・指導、勧告、命令、代執行の5つの段階があり、届いた手紙がどれかで、残っている時間と、まだ選べる道が変わります。
根拠になる法律は「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)です。
段階が見分けにくい書き方の封書は、写真を当社に送っていただければ段階の見立てをお返しします。原文は空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索)で、国土交通省の空家法関連情報に改正の概要とガイドラインがまとまっています。
空き家の法律(空家法)は2015年に始まりました。それ以来、対象にしてきたのは特定空家等です。このまま放っておくと倒れるなど、とても危ないおそれのある空き家のことです。すでに危険な家です。令和5年12月の改正(2023年12月13日施行)で、その手前に管理不全空家等という区分が加わりました。「そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある状態」の家です。
違いは、手を打つ時期です。改正後は、窓ガラスが割れたまま、雨どいが外れたまま、庭木が隣地に張り出したまま、といった「まだ倒れてはいないが、傷みが進んでいる家」の段階で、市が指導し、改善されなければ勧告できます。そして、管理不全空家の勧告でも住宅用地特例は外れます。「うちはまだ倒れそうではないから大丈夫」という考え方は、改正で通らなくなりました。
一方で、管理不全空家(放っておくと危ないと市町村に指摘された空き家)には命令と代執行の段階がなく、指導と勧告までです。通知を受けた段階では、まだ税金が上がるかどうかの手前にいます。
改正ではもうひとつ、持ち主が分からない家や相続人が全員放棄した家について、市町村長が財産管理人の選任を裁判所に請求できるようになりました。「持ち主が分からないから何も起きない」という時代ではなくなった、ということです。改正の全体像は国土交通省の空家法関連情報と、管理不全空家等・特定空家等に対する措置のガイドライン(令和5年12月)でお確かめください。富山市では空家等の適切な管理及び活用に関する条例が法律を補い、持ち主の責務と市の施策を定めています。
放置しないこと。それが、どの段階でも最も効きます。封書に書かれた担当課へ、電話を一本入れるだけで、話は「連絡の取れない持ち主」から「対応中の持ち主」に変わります。
市の担当者が困っているのは、傷んだ家そのものより、持ち主と連絡が取れないことです。戸籍をたどってようやく送った封書に返事がない。これが続くと、市は次の段階に進むしかありません。返事があり、予定が伝われば、担当者はそれを記録し、近隣にも「持ち主が対応中」と説明できます。県外にお住まいでも来庁の必要はなく、電話で足ります。
伝えることは4つです。①自分が持ち主(または相続人)であること、②家の今の状態を知っているか、知らなければいつ確かめるか、③いつまでに何をするつもりか、④連絡先。予定が決まっていなくても、「売るか壊すかを考えていて、来月までに決める」で十分です。
封書の指摘が具体的なとき、たとえば瓦が道路に落ちそう、庭木が電線にかかっている、といった場合は、方針が決まる前にその一点だけ先に手を打つのが順番です。落ちそうな部分の撤去や枝の伐採は当社でも手配でき、ご希望があれば市の担当課への連絡も代わりに行います。買い取る前提でなくて構いません。「業者が入る予定です」と市に伝わるだけで、次の段階に進む理由がなくなります。
なお、市は必要な限度で敷地に立ち入って調べることができ、正当な理由なく拒むと20万円以下の過料(役所に払わされる罰金のようなお金)の対象です。拒む理由はありません。日程が分かれば、当社が代わりに立ち会えます。
家が建っている土地には、固定資産税を安くする決まり(住宅用地特例)があります。税金を計算するもとの金額が、200㎡までの部分は6分の1に、200㎡を超える部分は3分の1に下げられています。空き家でも家が建っている限りこの特例は続きます。「壊すと税金が上がる」と言われるのはこのためで、詳しくは解体費用の相場に書きました。
勧告は、壊さなくても同じ結果を招きます。勧告を受けた敷地は、住宅用地特例の対象から外れると定められています(国土交通省 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置)。課税標準(税額を計算するもとになる金額)が最大6分の1から元に戻るので、土地の税額は数倍になります。実際の額は土地の評価額で決まるので、市の税務担当課で見込みを確かめてください。
いつから上がるかは、固定資産税の賦課期日である1月1日で決まります。1月1日の時点で勧告を受けたままなら、その年の4月から始まる年度の税から特例が外れます。秋に勧告を受け、年内に何もしなければ、翌年度分から上がります。逆に、1月1日までに改善して勧告が撤回されれば、特例は外れません。指導の段階なら、まだ税額は動いていません。
この税は家を持ち続ける限り毎年続きます。何も起きていない空き家でも、固定資産税、火災保険、草刈り、雪下ろしで年15〜40万円ほどの維持費がかかり(内訳は実家をどうするか)、そこに土地の税が数倍になった分が上乗せされます。勧告が出る前に方針を決めるのは、脅しではなく、単純な引き算です。
特定空家の勧告に従わず、命令にも従わないと、市が持ち主に代わって取り壊しなどを行います。これが行政代執行です。費用は市が立て替え、あとから持ち主に請求し、払わなければ税金の滞納と同じ手続きで財産から徴収されます。解体費は富山の木造住宅で坪3〜5万円前後、延床40坪で150〜200万円から、蔵や屋敷林(家のまわりの風よけの林)まで含む農家住宅では総額300万円を超えることが珍しくありません(解体費用の相場)。代執行では市が発注するので、見積もりを比べる余地はありません。
「相続人の誰にも通知が届いていないから、代執行はされない」とはなりません。持ち主が誰か分からないときでも、市は家を取り壊せます。市が公式のお知らせ(公告)を出してから取り壊す仕組みで、略式代執行といいます。この場合は勧告や命令がなく、お知らせから始まります。令和5年の改正で、その費用も、あとから持ち主が判明すれば国税滞納処分の例で徴収できるようになりました。
富山県内でも実例があります。上市町は2026年6月、相続人が確定できず持ち主を確知できない特定空家等(店舗併用住宅と倉庫・物置)について、期限までに取り壊しされなければ町が取り壊しするという略式代執行(持ち主が分からないとき、役所が代わりに取り壊すこと)の公告を出しました(上市町 特定空家等の略式代執行の公告)。公告は町の公式ホームページに載り、所在地も面積も公になります。上市町の空き家の事情は上市町の古民家・空き家の買取にまとめています。
もうひとつ、令和5年の改正で緊急代執行が加わりました。倒壊が差し迫っているなど命令の手続きを待つ時間がない場合に、命令を省いて市が措置できる制度です。屋根が落ちかけている家や、道路に面して傾いている家は対象になり得ます。屋根が落ちた家の応急処置と道は屋根が落ちた家、倒れそうな家はどうするかに、傾いた家の直し方は傾いた家・古民家は直せるかに分けて書きました。

市がどの家を「危険」と見るかは、市町村ごとに基準があります。富山市は、老朽危険空き家等の除却事業補助金の対象を決める判定基準を公表していて、これがそのまま「市がどの家を危ないと見るか」の物差しになります。富山市 老朽危険空き家等除却事業補助金の案内では、次の2つにどちらも当てはまる家を「一定以上に危ない家」と判定します。建物の傾き・外壁の壊れ・屋根の壊れのうち2つ以上があること。隣の土地との境などから外壁までが、1階で3m以内、2階で5m以内であること。
上の傾き・外壁・屋根の3つのうち2つに心当たりがあり、隣家や道路が近ければ、富山市の物差しでは「危険」の側で、依頼文で止まらず助言・指導に進みやすい家と読めます。外壁と屋根が保たれていて傾きもないなら、草木や落下物の指摘で済む可能性が高く、その部分だけ手を打てば足ります。基準は年度で見直されるので、最新のものは富山市の案内でお確かめください。他の市町村は細部が違います。
大切なのは、これは「壊すべき家」の基準ではなく、「市が危険と見る家」の基準だということです。外壁が落ちていても、屋根が破れていても、柱と梁の骨組みが生きていれば直せる家は多くあります。当社は建設業の許可(工事を請け負ってよいと県が認めたもの)を持つ工務店として現地で見て、直せるか、壊すしかないかを決めます。市の判定が「危険」でも、当社の判定が「直せる」であることは珍しくありません。傷んだ家の見分け方は傷んだ家(いわゆるぼろ屋)は壊さなくても売れるに、当社がお引き受けできる状態の例は古民家・空き家の買取にまとめました。
段階が分かり、返事をしたら、次は方針です。通知が来た家に対して取れる道は、大きく3つです。自分で直す・壊す、補助を使って取り壊しする、今のまま売る。同じ物差しで並べます。
将来その家に戻る予定があるなら1です。土地を手元に残したい、更地(建物を壊した、何もない土地)でも使い道がある、という方は2が合います。県外に住んでいて戻る予定がなく、通知への対応そのものを終わらせたい方には3が向きます。判断の材料として、当社の査定は無料で使えます。売らないと決めても費用はかかりません。


閉じたまま傷んでいた店を、当社が直して焼き鳥店として再生した事例です。使われなくなった建物でも、骨組みが生きていれば次の使い手に渡せます。→ この事例を詳しく見る
空家法の助言・指導や勧告は、家ではなく持ち主に対して行われます。勧告の手前で当社が今のまま引き取れば、住宅用地特例(家が建っている土地の固定資産税を安くする仕組み)は外れないまま、通知への対応も、修理か解体かの判断も、近隣への説明も、当社に移ります。先に修理や解体をしていただく必要はありません。
当社が引き取れるのは、原則として命令が出る前までです。指導や勧告の段階なら、市に「○月○日に持ち主が変わります」と伝えれば、市はその日を待ちます。命令が出て代執行の手続きが動いている家は、個別にご相談ください。手続きは次の順で進みます。
帰らずに売る具体的な段取りは帰らずに富山の実家を売る方法に、相続した家を売るまでの登記と税金の順番は相続した実家の売却の手引きにまとめました。富山市の家なら富山市の古民家・空き家の買取もご覧ください。
「祖父名義の家」「会ったことのない伯父の家」について、市から「あなたは相続人の一人です」という封書が届くことがあります。登記名義人(土地や家の持ち主を記す国の記録)が何十年も前に亡くなり、市が戸籍をたどって現在の相続人全員に送っているためです。身に覚えがなくても、法律上は相続人です。
まず知っておいていただきたいのは、相続放棄には期限があることです。自分のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に申述(家庭裁判所への申し出)します。市の封書で初めて相続を知った場合、その日から数えるのが原則ですが、起算点の判断は一件ごとに違うので、封書の日付と受け取った日を控えて、早めに司法書士(登記の手続きを代わりに行う専門家)か弁護士に相談してください。3か月で足りなければ、同じ期間内に伸長の申立てができます。
次に、放棄しても保存義務が残ることがある点です。改正民法940条により、放棄のときにその家を現に占有していた人は、次の相続人か相続財産清算人に引き渡すまで保存義務を負います。県外に住んでいて、鍵も持たず、使っていない方は、放棄で義務を負わないのが原則です。放棄と売却をどう比べるかは相続放棄しても空き家は消えないに詳しく書きました。
相続人が多数で全員の合意を取るのが難しい場合も、まず「その家に値が付くか」を知ると、話の進め方が変わります。値が付く家なら、代表者が相続登記(亡くなった方から名義を移す手続き)と売却を進める理由ができます。値が付かない家なら、放棄の判断が早くできます。当社の査定は、相続人の一人からのご相談で、登記前、家財が残ったままで行えます。
当社に直接ご相談いただいても、行政の窓口を先に使っていただいても構いません。行政の窓口は中立で、無料で、売る以外の道(補助制度、空き家バンク、管理サービス)も並べて教えてくれます。
行政の窓口で「売る」話になったとき、仲介(不動産会社が買い手を探して売る方法)で売れる家なら不動産会社を紹介されます。傷んでいて買い手が付きにくい家、家財が残ったままの家、相続登記がまだ済んでいない状態の家は、当社のような直接買取の出番です。県外からの空き家の管理の頼み先は県外から富山の空き家を管理する年間カレンダーにまとめました。
最初の「適切な管理のお願い」に強制力はありませんが、返事がないまま近隣からの相談が続くと、市は現地を調べて助言・指導、勧告へと進めます。勧告を受けると翌年度から敷地の固定資産税の住宅用地特例が外れ、特定空家であれば命令、代執行まで進むことがあります。担当課に電話で今の状態と予定を伝えるだけで、多くの場合はお願いの段階で止まります。
市は登記と戸籍で持ち主や相続人を調べ、分かりた全員、または代表者に送ります。一人にしか届いていなくても、共有者全員が持ち主としての責務を負います。対応は代表者一人で構いません。担当課に「相続人の代表として連絡している」と伝え、他の共有者には封書の内容を共有してください。売却には共有者全員の合意と署名が要るので、早めに話を始めることをお勧めします。
固定資産税は1月1日時点の持ち主に、その年度分が課されます。勧告を受けたまま1月1日を迎えれば、その年度は特例が外れた税額を1月1日時点の持ち主が払います。1月1日より前に持ち主が変われば、勧告は前の持ち主に対するものなので、新しい持ち主への措置は市が改めて決めます。当社に売却いただく場合は、引渡し日と賦課期日の関係も含めてご説明します。
はい。指導や勧告の段階であれば、今のまま、家財が残ったまま、修理や解体をしていただかずにご相談いただけます。持ち主が変われば、その後の市との対応は当社が引き受けます。命令が出て代執行の手続きが動いている家は、取り壊しの期限が先に決まっているため、個別にご相談ください。買取価格は家の状態で変わり、骨組みが傷んで直せない家は、解体費を見込んだ価格になります。
そうとは限りません。富山市の判定基準は、傾き・外壁の破損・屋根の破損のうち2項目以上と隣地までの距離で「市が危険と見る家」を決めるもので、直せるかどうかの判定ではありません。外壁や屋根が傷んでいても、柱と梁の骨組みが生きていれば直せる家は多くあります。当社は建設業の許可を持つ工務店として現地で判断し、直せる家は直して次の住み手に引き渡す方針です。
制度によります。富山市の老朽危険空き家等除却事業補助金は、市の判定で一定水準以上の危険度とされた家が対象で、工事を始める前の申請と交付決定が条件です。額と条件は年度で変わり、予算がなくなれば受け付けが終わります。命令や代執行が近い段階では申請の時間が足りないこともあるので、申請する場合は通知を受けた時点で担当課に相談してください。補助が出ても解体費の自分で払う分は残り、更地になると翌年度から土地の固定資産税は上がります。
本ページは一般的な制度の解説です。通知の段階の判断、税額、補助制度の条件は市町村と年度で変わります。最終的な確認は封書に書かれた担当課と、国土交通省・各市町村の公式案内でお願いします。制度の内容は2026年9月時点のものです。
封書の写真と家の写真だけで構いません。どの段階か、いつまでに何をすればよいか、売れる家かどうかをお返しします。県外からでも、家財が残ったままでも、登記前でも。査定は無料で、断っても費用はかかりません。
通知のきっかけになった傷みごとに、直せるか、壊すしかないか、今のままの状態で手放せるかをまとめています。