売るまえに読む / 蔵・納屋が崩れかけた家
蔵や納屋が先に崩れかけている家。
蔵だけ壊すか、残すか、母屋ごと今のままの状態で手放すか
富山では、母屋より先に蔵や納屋が崩れかけます。蔵だけ壊すか、残すか、母屋ごと手放すか。当社は蔵も含めて今のままの状態で買い取ります。
- 土蔵は屋根→土壁→小屋組→壁の順に崩れる。②までは残せることが多い
- 道は3つ。母屋ごと手放すなら、蔵を先に壊さない
- 蔵の中身は片づけ不要。解体費を先に出すことはない
売るまえに読む / 蔵・納屋が崩れかけた家
富山では、母屋より先に蔵や納屋が崩れかけます。蔵だけ壊すか、残すか、母屋ごと手放すか。当社は蔵も含めて今のままの状態で買い取ります。

母屋が建っているうちに蔵が崩れるのは、蔵が弱いからではありません。先に手入れが止まるからです。
富山の農家住宅には、母屋のほかに土蔵、納屋、作業小屋、車庫が建っています。人が住んでいるうちは、母屋の屋根は雪下ろしをし、雨漏りがあれば直します。ところが蔵や納屋は、使わなくなった時点で手入れが止まります。瓦が一枚ずれても、トタンが一枚浮いても、誰も気づきません。空き家になれば、母屋も同じ道をたどりますが、付属建物はそれより10年、20年早く同じ状態に入っていることが多いのです。
土蔵の崩れ方には順番があります。まず屋根の手入れが止まり、樋が詰まって軒先から壁の上部に水が回ります。土蔵の壁は厚い土壁に漆喰を塗ったもので、乾いている限りは丈夫ですが、一度雨を吸うと重くなり、漆喰が浮いて剥がれ始めます。次に、湿った小屋組が冬の屋根雪に耐えられなくなり、梁が折れて屋根が抜けます。屋根がなくなった土壁は、一冬で崩れることも珍しくありません。落ちる先は、道路か、隣の敷地です。
納屋や作業小屋は、もっと単純です。柱と板壁とトタン屋根だけの建物が多く、土台が腐れば傾き、傾けば屋根がずれて一気に崩れます。「壁だけ落ちて骨は残る」という段階がなく、傾いた時点で危険度が上がります。
富山には、蔵の多い地域が二つあります。ひとつは砺波・南砺・高岡の散居村(田んぼの中に家が離れて建つ村)と農村部で、屋敷林(カイニョ)に囲まれたアズマダチ(砺波地方に多い、大きな屋根の農家の造り)の大屋根の母屋に、土蔵と納屋が並びます(砺波市・南砺市・高岡市)。もうひとつは八尾、高岡の山町筋・金屋町、金沢の町家で、母屋の奥に土蔵造りの蔵が建っています(金沢市・石川県)。農村の蔵は敷地が広いぶん隣地までの距離があり、町家の蔵は隣の家と壁を接していることが多く、崩れたときの影響がまったく違います。

「蔵が危ない」と一言で言っても、建物の種類で見るところが違います。当社が写真を拝見するとき、最初に分けているのは次の4つです。
建物の種類より先に見るものが、ひとつあります。道路と隣地に面しているかです。敷地の奥に建ち、崩れても自分の敷地に落ちるだけの蔵と、道路に面した蔵、隣の家と壁を接した町家の蔵では、同じ傷みでも急ぎ方が違います。道路側や隣地側に傾いている、屋根材が道路に落ちた、という状態なら、売る・壊す・残すの判断より先に、人が近づかないようにする措置と、隣の方への連絡が要ります。
応急でできることは限られますが、順番はあります。まず蔵の周りにロープを張り、貼り紙をして人を近づけない。次に、落ちそうな屋根材や壁の破片で、手の届く範囲のものを外す。ブルーシートは風で飛び、雪には効かないので、屋根の穴をふさぐ目的では当てにしないでください。それ以上の応急工事(崩れかけた部分だけを先に外す、突っ張りで壁を押さえる)は、当社が建設業者として手配できます。母屋の屋根が落ちた場合は屋根が落ちた・倒れそうな家に書きました。市役所から管理不全空家等(放っておくと危ないと市町村に指摘された空き家)の通知が来ている場合は、対応や売却を進めていることを担当課に伝えておくと、話が前に進みます。
蔵や納屋が崩れかけているとき、選べる道は3つです。蔵だけ壊す、蔵を残して直す、母屋ごと今のままの状態で手放す。どれが正しいかは、母屋をこれからどうするかで決まります。蔵の状態だけで決めると、順番を間違えます。
よくある間違いが、「母屋を売るなら、先に蔵を壊してきれいにしてから」という順番です。仲介(不動産会社が買い手を探して売る方法)の不動産会社にそう言われた方も多いはずです。買主が住む前提の仲介では、崩れかけた蔵は減点にしかなりません。ただ、その解体費は売主の自分で払う分で、売れなかったときには戻りません。当社の買取では、崩れかけた蔵の解体費を売主に先に出していただくことはありません。蔵や屋敷林まである農家の家では、解体費が合計300万円を超えることがよくあります。壊さずにそのまま引き渡すほうが、ご自分で払うお金は少なく済みます。

「壁が落ちているから、もうだめだ」と決めている方が多いのですが、土蔵に限っては、それは早計です。土蔵の壁は仕上げであって、構造ではありません。構造(柱や梁など、家を支える部分)は、中の柱と梁と小屋組、そして足元の土台です。当社が現地で見るのは、次の順番です。
まとめると、小屋組と土台が生きていれば、壁が落ちていても残せる。小屋組が折れて屋根が抜け、土壁が雨に打たれて何年も経っていれば、残すのは難しい。この境目は写真だけでは確定できないので、現地で床下と小屋裏(屋根と天井のあいだの空間)を見ます。写真で「難しそう」と見えた蔵でも、ご希望があれば現地に伺います。


当社が古民家の母屋を直した事例です。天井を抜いて梁を見せた階段室にし、民泊(家を旅行者に泊める宿)として開業しました。工期4か月、建築工事費900万円。→ この事例を詳しく見る
母屋を使い続けるつもりで、蔵は残せないと分かった場合は、蔵だけを壊すことになります。当社は解体を前提にしない工務店ですが、壊すと決めた方が損をしないために、一般論として知っておいていただきたいことを並べます。
もうひとつ、壊したあとの話です。蔵の敷地は母屋の敷地と一体なので、蔵を壊しただけで固定資産税の住宅用地特例(家が建っている土地の固定資産税を安くする仕組み)が外れることは通常ありません(母屋を壊して更地にすると外れます)。ただ、跡地は空き地になり、草を刈る手間が増えます。壊す前に「その場所をどう使うか」まで決めておくと、後悔が減ります。
蔵の中身は、多くの相続人にとって母屋の家財より重い問題です。何が入っているか分からない。何十年も開けていない。開けたところで、価値があるのか、ただの古い物なのか、判断がつかない。当社は、蔵の中身を片づけていただく必要はありません。家財道具や仏壇が残ったままで買い取り、処分は当社で行います。蔵と納屋の中も同じです。母屋の家財が山積みの場合の順番は片づいていない実家を片づけずに売るに書きました。
そのうえで、中身を4つに分けて考えると、気持ちの整理がつきます。
建具と古材は、中身とは別に扱います。蔵戸、観音開きの扉、欅の板戸、格子、太い梁。当社は買い取った家を直して次の住み手に引き渡す方針なので、蔵を残す場合はそのまま使い、蔵を残せない場合でも、外せる建具と古材は再生の工事で使います。母屋の座敷に蔵の建具を移すこともあります。壊す前に相談していただければ、ゼロにならずに済むものが、蔵にはいくつもあります。梁や柱を外して次の家へ渡す方法は古材の販売・活かし解体にまとめています。
中身の話で、ひとつだけ注意点があります。相続放棄(財産も借金も一切受け取らないと、家庭裁判所に届け出ること)を考えている方は、蔵の中身を売ったり処分したりする前に、司法書士(登記の手続きを代わりに行う専門家)に相談してください。蔵の中の物を売ったり捨てたりすると、相続をすべて受け入れたと扱われることがあります。そうなると、相続放棄ができなくなる場合があります。詳しくは相続放棄しても空き家は消えないに書きました。当社の査定は、中身に手をつけない状態で行えます。
蔵付きの家を仲介や解体前提で査定すると、蔵は「解体費が増える建物」としてしか見られません。母屋の解体費に、蔵と納屋の解体費が上乗せされます。屋敷林があれば、木を切る費用も足されます。その合計が、土地の値段から引かれます(屋敷林の伐採費と、木ごと手放す道は屋敷林・庭木が荒れて隣から苦情が来たに書きました)。富山の木造住宅の解体は坪3〜5万円前後、蔵・納屋・車庫などの付属建物は1棟数十万円からが目安で、屋敷林まで含めると総額300万円を超えることが珍しくありません。富山の郊外では、土地の値段がこの解体費より安いことがあります。その場合、査定の答えは0円か、赤字になります。「他社で値が付かないと言われた」というご相談の多くが、この計算です。蔵に限らない査定の式の違いは解体前提の査定と、壊さない前提の査定の違いにまとめています。
当社の査定は、前提が違います。土地の値段に母屋の評価(柱・梁・間取り)を足し、蔵は崩れた蔵と、残せる蔵で分けて見ます。崩れて残せない蔵や納屋は、当社が引き取ったあとに解体するので、その費用は当社の負担として計算に入れますが、売主に先に出していただくことはありません。残せる蔵は、収納・作業場・宿・店として使えます。当社はその分を、値段を下げる理由ではなく、値段を上げる理由として数えます。そこから、直す費用と、売れ残る心配の分を引きます。それが買取価格です。中身を片づける費用は引きません。
買取価格は、仲介で売れた場合より低くなります。修理費と売れ残るおそれと片づけの手間を、買主である当社が引き受けるからです。ただ、崩れかけた蔵のある家は仲介では買主が付きにくく、「先に蔵を壊してから」と解体費を持ち出す道になりがちです。解体前提のゼロと、当社の査定と、仲介の手元に残るお金を同じ表に並べて比べてください。当社の無料査定では、今のまま売った場合の金額と、解体した場合のおおよその金額をあわせてお伝えできます。
ひとつ、実際の例を挙げます。富山県高岡市のS様(60代・ご夫婦)は、築90年の旧農家住宅と蔵を、空き家のまま10年お持ちでした。高齢になって広すぎる家からの住み替えを決めたものの、受け継いできた家を壊して売るのだけは避けたかった、というご相談です。当社は「壊さずに、次の使い手に渡します」とお伝えし、蔵ごと今のままの状態でお引き受けしました。「家が残ると分かっているのは、思っていた以上に安心なものでした」というのが、S様の言葉です(買取のページ・お客様の声)。蔵を壊してから、片づけてから、と考えているうちに、蔵は一冬ごとに傷みます。
なお、相続した空き家の3,000万円特別控除は2027年12月末までの譲渡が対象で、条件を満たせば買取でも使えます。母屋を壊すかどうかで使い方が変わるので、解体を決める前に確かめてください。売却全体の手順は相続した実家の売却の手引きに、県外から進める方法は帰らずに売る方法にまとめています。
順番は逆のほうが自分で払う分が少なくなります。当社は蔵や納屋も含めて今のままの状態で査定し、残せる蔵は転用や保存を考え、危険なものは当社が引き取ったあとに解体します。先に壊すと、その解体費は戻りません。壊す前に、蔵ごとの査定額を確かめてください。道路や隣地に落ちそうで待てない場合は、崩れかけた部分だけを外す応急の工事から当社でお引き受けします。
まず隣の方に状況を伝え、蔵の周りに人が近づかないようにロープや貼り紙で示してください。次に、傾いている側の写真と、蔵の屋根の写真を送っていただければ、応急で押さえられるか、崩れそうな部分を先に外すべきかを見立てます。当社は建設業の許可(工事を請け負ってよいと県が認めたもの)を持つ工務店なので、応急工事から手配できます。市役所から通知が来ている場合は、売却や対応を進めていることを担当課に伝えてください。
蔵だけを切り離して売るのは、敷地の分筆(一つの土地を分けて登記すること)や境界の確認、通路の確保が要るため、現実的でないことが多いです。母屋と敷地をまとめてご相談いただくのが早い道です。ただし、蔵の建具や古材、中の古道具には値が付くことがあり、これは蔵を壊す前にしか残せません。当社は蔵を残すか、部材を再生に使うかまで含めて査定します。
そのままで構いません。当社は家財が残ったまま買い取り、処分も当社で行います。農機具は田を引き受ける耕作者にとって価値があることもあり、納屋ごと使い手に渡せる場合があります。肥料や農薬、燃料の缶がある場合は、種類と量を写真で教えてください。田や畑が付いている場合の手順は「田んぼ・山林付きの実家の売り方」にまとめています。
市町村には、老朽化した危険な空き家の取り壊しを支援する制度があります。富山市の老朽危険空き家等除却事業補助金、南砺市の老朽危険空き家取り壊し支援事業費補助金、金沢市の危険空き家等の解体(取り壊し)費補助などです。ただし多くは母屋を対象にした制度で、蔵や納屋だけが対象になるかは市町村ごとに違います。内容と予算は年度で変わり、工事を始める前の申請が条件のものがほとんどなので、各市の建築担当課と公式案内でお確かめください。当社の今のままの買取なら、売主に解体費はかかりません。
付属建物が未登記のままの農家住宅は珍しくありません。当社は未登記の蔵や納屋も、今のままお引き受けしています。母屋の相続登記(亡くなった方から名義を移す手続き)は引渡しまでに必要で、提携する司法書士をご紹介します。付属建物の登記(土地や家の持ち主を記す国の記録)が要るか、要るならどの範囲かは、司法書士に確かめたうえで進めます。
開けずにそのままで結構です。当社が現地で確かめ、位牌、写真、権利証、通帳、印鑑、手紙のように明らかに大切なものは、引渡しの前にお渡しします。価値の分からない古道具や骨董について、当社が判断を急がせることはありません。残していただいたものは、再生した家や宿でそのまま使うこともあります。
本ページは一般的な考え方の解説です。蔵や納屋を残せるかどうかは、小屋組と土台の状態を現地で見て決めます。解体や補助制度の内容は市町村と年度で変わり、法令の詳細は各制度の公式案内のほうが正しいとお考えください。応急の対応が必要な危険な状態の建物については、まず人が近づかない措置を取り、市町村の担当課にもご相談ください。
蔵の外観と屋根、母屋の写真だけで構いません。中身はそのまま、登記前でも、県外からでも。査定は無料で、断っても費用はかかりません。
雨漏り、屋根の落下、家財の山、農地と屋敷林。付属建物の先にある母屋と敷地の話は、こちらにまとめています。