相続した空き家 / 固定資産税

相続した空き家の固定資産税は、名義を移す前から相続人が払います

相続した空き家の固定資産税は、相続登記の前でも相続人が払います。毎年1月1日の持ち主にかかる税で、亡くなった年の分も相続人が引き継ぎます。名義を移すまでの届け出、兄弟での払い方、放棄したとき、税が上がるときを、富山の市町村の書類名つきでまとめました。

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誰が、いつから払うか

固定資産税は、土地と家の持ち主にかかる市町村の税です。かかるかどうかは毎年1月1日の時点で決まり、この日を賦課期日(税をかける基準の日)といいます(総務省「固定資産税の概要」)。1月2日以後に持ち主が変わっても、その年度の税を払う人は変わりません。

持ち主は、ふつうは登記簿の名義で決まります。では、1月1日に名義の人がすでに亡くなっていたらどうなるか。その日に実際に家を持っている人、つまり相続人に税がかかります(地方税法343条2項、高岡市の案内)。相続登記(亡くなった方から名義を移す手続き)が済んでいなくても同じです。

亡くなった年の分も残ります。1月1日より後に亡くなった場合、その年度の税を払う義務は相続人が引き継ぎます(地方税法9条、古河市の案内)。まだ払っていない回の分は、相続人が払うことになります。

相続人が何人もいるときは、家は相続人みんなで持っている形になり、全員が連帯して税を払う義務を負います(地方税法10条の2)。連帯とは、一人ひとりが全額について払う責任を負う、という意味です。「自分は家を使っていないから関係ない」とはなりません。

名義を移す前の届け出「現所有者申告」

亡くなったと 知った日 砺波市は3か月 現所有者申告 期限は市町村ごと この2つは別のもの 現所有者申告 市町村の税の書類 送り先を決めるだけ 名義は変わらない 相続登記 法務局で行う 名義を移す 2024年4月1日から義務
現所有者申告は税の届け出。名義を移すのは相続登記

名義が亡くなった方のままだと、市町村は誰に納税通知書を送ればよいか分かりません。そこで、今の持ち主である相続人に届け出てもらう決まりがあります。地方税法384条の3にもとづく現所有者申告です。

届け出の期限は、市町村の条例で決まります。たとえば砺波市は、砺波市税条例74条の3にもとづき「現所有者であることを知った日(旧所有者の死亡日など)の翌日から3か月を経過した日まで」としています。つまり、亡くなったことを知ってから、およそ3か月のうちに出す、ということです。ほかの市町村の期限も、それぞれの条例で決まっています。

届け出の書類では、相続人の中から代表者を一人決めます。翌年度からの納税通知書などは、この代表者に届きます。

この届け出は登記ではありません。富山市は「この申告書は、法務局で相続登記がなされるまでの間における固定資産税の納税等に関する手続きのためのもの」と書いています。つまり、税の書類の送り先を決めるだけで、家の名義は変わりません。相続登記は別に法務局で行い、2024年4月1日から義務になりました(高山市の案内)。登記の期限と費用は実家の相続登記にまとめました。

富山の市町村の書類名と窓口

書類の名前は、市町村ごとに少しずつ違います。下の表は、2026年10月に各市の公式ホームページで確かめた名前です。

市町村書類の名前窓口
富山市固定資産現所有者申告書資産税課
高岡市固定資産現所有者申告書(兼 相続人代表者指定届)資産税課
魚津市相続人代表者指定届兼固定資産現所有者申告書税務課 資産税係
砺波市固定資産現所有者申告書税務課 資産税係
小矢部市相続人代表者指定届兼現所有者申告書税務課
高山市書類は税務課から郵送税務課

高岡市は、亡くなった年の12月31日までに相続登記が終わらないとき、資産税課から申告書を送るとしています。高山市も、届け出の書類は税務課から郵送するとしています。書類の名前と出し方は、富山市・魚津市・砺波市・小矢部市の各ページで確かめられます。

表にない市町村(石川県の市町を含む)は、家のある市町村の税務課にお問い合わせください。

代表者に届く納税通知書と、兄弟での分け方

納税通知書は、代表者一人に届きます。魚津市は、届け出がないときは地方税法9条の2第2項にもとづき「市が相続人代表者となっていただく方を指定」するとしています。また、代表者になることは「実際の相続の権利等とは一切関係ありません」とも書いています。つまり、代表者に選ばれても、その人が家を相続すると決まるわけではありません。

払う義務は、代表者だけでなく相続人全員にあります。代表者が全額を払ったとき、兄弟でどう分けるかは話し合いで決めます。遺産分割協議(相続人全員で、誰が何を受け取るか決める話し合い)で家を受け取る人が決まるまでの間、誰がどれだけ出すかを先に決めておくと、あとでもめにくくなります。分け方の考え方は兄弟で相続した実家の分け方に書きました。

相続登記で兄弟の共有名義(一軒の家を何人かの名前で持っていること)にしたあとも、しくみは同じです。高山市は、共有になった家は「各共有者が連帯して納税義務を負う」とし、共有代表者に納税通知書を送るとしています。

相続放棄したとき

相続放棄(財産も借金も一切受け取らないと、家庭裁判所に届け出ること)が認められると、その人は「初めから相続人とならなかったものとみなされる」ことになります(法務省の資料)。つまり、放棄した人は家の持ち主にならず、亡くなった方の税を払う義務も引き継ぎません。

放棄の申し出は、自分が相続人になったと知ったときから3か月以内に、家庭裁判所にします(裁判所の案内)。納税通知書がすでに届いていたら、放棄が認められたことを市町村の税務課に伝えてください。

ただし、家を守る義務まで消えるとは限りません。改正された民法940条1項は、放棄のときに家を実際に使ったり管理したりしていた人に、次の相続人などに引き渡すまで、その家を保存する義務を課しています(法務省の資料)。誰に義務が残るのか、全員が放棄したら家はどうなるのかは、相続放棄しても空き家は消えないにまとめました。

空き家でも税が安い理由と、上がるとき

住宅用地特例(家が建つ土地) 200㎡以下の部分 200㎡を超える部分 課税標準が 6分の1 課税標準が 3分の1 税額がそのまま6倍になるわけではない 特例が外れて、税が上がるとき 家を壊して更地に 市町村から勧告を受ける
家が建つ土地の特例と、外れる二つの場合

家が建っている土地は、住宅用地特例(家が建っている土地の固定資産税を安くする仕組み)で税が軽くなっています。地方税法349条の3の2により、課税標準(税額を計算するもとになる金額)は、200㎡以下の部分が6分の1、200㎡を超える部分が3分の1になります(国土交通省の資料「地方税法(抄)」、富山市の案内)。

空き家でも、住める家が建っていれば、ふつうはこの特例の対象です。ただし、総務省の通知では、住宅と認められない状態の家や、壊す予定の家は、特例の「住宅」に当たらないとされています(国土交通省の資料)。

特例が外れて、土地の税が上がるのは、主に次の二つの場合です。

  • 家を壊して更地にしたとき。更地(建物を壊した、何もない土地)は、家の敷地ではないので特例を使えません。1月1日に家がない土地は、その年度から住宅用地に当たらなくなります。
  • 市町村から勧告を受けたとき。空家法にもとづき、特定空家(危ないと市町村が判断した空き家)や管理不全空家(放っておくと危ないと市町村に指摘された空き家)として勧告(市町村からの強い注意)を受けると、家が建っていても、その敷地は特例から外れます(国土交通省の資料)。

「壊すと税金が6倍になる」と言われることがありますが、6分の1は課税標準の話です。税額がそのまま6倍になるわけではありません。住宅用地でなくなった宅地の課税標準は評価額の70%までとされ、前の年からの上がり方をならす仕組みもあります(総務省「固定資産税の概要」)。実際の額は、市町村から届く課税明細書(毎年届く固定資産税の明細)で確かめてください。

勧告までの段階と期限は空き家の通知が市役所から届いたらに、壊す前に知っておくことは解体前提と壊さない前提の査定に書きました。

売った年の固定資産税

年の途中で家を売っても、その年度の固定資産税は、1月1日の持ち主に1年分かかります。越谷市は「1月2日以降に所有権の移転が行われても、納税義務者は変更されません」と書いています。

売り買いでは、引渡し(鍵を渡して、持ち主が替わること)の日を境に、日割りで分け合うことがあります。ただし、これは法律の決まりではありません。越谷市も、日割りなどの精算は「地方税法上で規定されているものではありません」とし、売る人と買う人の合意で決めるものだとしています。

当社が買い取るときの固定資産税の分け方は、契約のときに取り決めます。

固定資産税のほか、草刈りや雪下ろしなど、空き家に毎年かかる費用の全体は富山の実家をどうするかにまとめました。相続してから売るまでの順番は相続した空き家でやることをご覧ください。

よくある質問

相続した家の固定資産税は、誰が払いますか。+−

相続人が払います。名義を移す相続登記の前でも同じです。固定資産税は毎年1月1日の持ち主にかかる税で、その日に名義の人が亡くなっていれば、実際に家を持っている相続人にかかります。亡くなった年の分で払い終わっていない税も、相続人が引き継ぎます。相続人が何人もいるときは、全員が連帯して払う義務を負います。

相続登記をしていないのに、納税通知書が届きました。+−

間違いではありません。名義を移す前でも、固定資産税は相続人にかかります。納税通知書は、相続人の中から決めた代表者に届きます。届け出がないときは、市町村が代表者を決めて送ることもあります。代表者として受け取ることは、誰が家を相続するかとは関係ありません。届け出の書類は「現所有者申告書」などの名前で、窓口は市町村の税務課や資産税課です。

相続放棄したら、固定資産税は払わなくていいですか。+−

家庭裁判所で放棄が認められると、その人ははじめから相続人でなかったことになります。家の持ち主にならず、亡くなった方の納税の義務も引き継ぎません。納税通知書がすでに届いていたら、放棄したことを市町村の税務課に伝えてください。ただし、放棄のときに家を実際に使ったり管理したりしていた人には、次の人に引き渡すまで家を守る義務が残ります。

空き家を壊すと、固定資産税は上がりますか。+−

土地にかかる固定資産税は上がります。家が建っている土地は住宅用地特例で、課税標準が200㎡以下の部分は6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に下げられています。家を壊して1月1日に家がない土地になると、この特例が外れます。ただし、税額がそのまま6倍になるわけではありません。実際の額は、市町村から届く課税明細書でお確かめください。

兄弟で相続した家の固定資産税は、誰に届きますか。+−

相続人の中から決めた代表者一人に、納税通知書が届きます。相続登記をして兄弟の共有名義にしたあとも、共有者の代表者に届きます。払う義務は代表者だけでなく、兄弟全員が連帯して負います。代表者が払った分を兄弟でどう分けるかは、兄弟の話し合いで決めます。

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出典

本ページは一般的な制度の解説です。あなたの家の税額は、市町村から届く納税通知書と課税明細書でお確かめください。税額の計算と申告は、市町村の税務課・税務署・税理士にご相談ください。放棄や相続の争いについての判断は、司法書士・弁護士にお確かめください。制度の内容は2026年10月時点のものです。

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登記、兄弟での分け方、放棄、売るときの税金。相続した家を手放すまでの順番をまとめています。

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執筆:北陸ホームズ 牧村 航汰 更新

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